チャレンジカード

発表会を終えて。

生徒達の本番当日までの練習方法やモチベーションの上げ方はもちろん大切。
だけど、本番が終わった後、結果はどうであれその経験を次の成長へと繋げることがとても大切なんじゃないかと思っています。
 
私は子どもの頃からあがり症で(セルフ1のトリコです)人前での演奏が上手くいった経験がとても少ないです(と、思い込んでいました)
 
ですから子どものころ「私が下手で先生やお母さんに悪いな」と思ったり、「私はピアニストにはなれないな」と思い、人前での演奏がとても苦手でした。
先生や母は、私の演奏に対して叱ったりはしませんでしたが、きっとガッカリしているだろうなと感じていました。
 
大人になってもその苦手意識は消えず、演奏が終われば、できるだけ早く忘れたいと思っていたものでした。
上手く弾けたことがあっても、まぐれの様な気持ちでいて自分の評価を上げることができませんでした。
 
周りからはとても落ち着いて演奏しているように見えているらしいのですが、自分の心のこだわりから離れられずにいたのですね。
 
きっと生徒たちもそうだろう、と思い込んでいました。
上手く弾けた子には一緒に喜びいっぱい褒めてあげられるけど、上手くいかなかった子にはどうしようか。
もちろん頑張ったことは褒めるけど、どうやって励まそう。
「練習すればきっと上手くなるよ」「更に頑張れ」「次は大丈夫」「嫌なことは忘れてさあ次へ!」「緊張しちゃったから仕方ないよね」と思っていました。
 
でも失敗する子はいつも同じ失敗を繰り返しました。
きっと失敗の経験が、私のように心の傷になっているのでしょう汗
どうやって乗り越えさせることができるのか。
 
コーチングを学ぶ中でどんな経験も意味があること、そしてその経験を成長に繋げることが先生の大切な役割だと思うようになりました。
先生やお母さんが子どもに掛けてあげる「失敗の経験を意味のあるものにする、前向きな言葉」一つで、それは良い経験にも嫌な経験にもなり得るのです。
 
まずは自分自身の演奏に対するセルフイメージを上げるために、今回の講師演奏に目標を持たせ、演奏後に振り返りました。
そして初めて、演奏の時の感情、できた事、できなかった事、お客様の反応などを冷静に見つめることができました。
 
それはとても効果的だったので、『チャレンジカード』を作り、発表会やコンクールを終えた生徒に渡すことにしました。

 

生徒、お母さん、先生の三人それぞれがこの経験を通してどう感じたか?
頑張ったこと、成長したと思ったこと、次の目標などを書いて振り返ります。
 
以前の発表会で、こんなことがありました。
真面目なお母さんほどついつい、発表会直後の子どもに対して「もっと普段からたくさん練習すればいいのに」なんて言ってしまいがちです。
「部活や勉強で忙しいのによく頑張りましたよ。成長しましたよ」と言っても我が子には点が厳しくなるようです。
達成感で輝くような顔をしていた生徒の顔が、みるみるうちに曇っていきました。
普段の生活での子どもへのもどかしさ、もっと練習するように先生に言って欲しいなど複雑な気持ちなのでしょうね。
 
でも努力、孤独、緊張を乗り越えて舞台に立つという大きなチャレンジをした子どもに、まずは大きな拍手を贈り、成長の喜びを三人で味わうブーケ1
 
そんなきっかけになれば良いなと思っています。
 
写真はピティナステップにチャレンジした生徒のカード。
自分の保存用にコピーしたので白黒です。
 
「がんばった!がんばりました!!!」
 
ちゃんと自分を認められています。
これが大切。